長かった…私が水槽の黒ひげ苔と戦った2年間の壮絶日記
アクアリストを悩ますものの一つとして苔があります。せっかく高いADAの水槽を購入しても苔が生えてしまっては全てが台無しになってしまいます。
また、「苔が生えている=水質が悪い」ことを意味するので、生体にも悪い影響が出ているかも…と考えてしまい、様々な意味で萎えてしまいます。
そんなメンタルをやられる苔の中で最も極悪でしつこいのが「黒ひげ苔」です。その言葉の如く、黒いヒゲのような苔が流木や水草、ヒーターなどあらゆる場所で生えて増殖していきます。見た目もものすごく不快です。
そんな黒ひげ苔に悩まされ格闘した私の壮絶日記をご紹介します。
今回の記事でわかること
- 黒ひげ苔とは何なのか?
- 黒ひげ苔が生えた時に注意すべきこと
- 黒ひげ苔が生える原因
- 黒ひげ苔を完全克服できたリアルな方法
- 黒ひげ予防に大切なこと
黒ひげ苔とは
黒ひげ苔とは藻類の一つで紅藻類に属しています。紅藻類とは海に約2,000種類・淡水で約200種類存在している藻類になります。
なぜこの藻類が突如として水槽にはびこるようになるのか?それは紅藻類が栄養素としている「リン酸」が多すぎるからです。リン酸が増えすぎてしまっているので、それを栄養素とする黒ひげ苔が増殖してしまいます。
では、リン酸はどうやって水槽内に生まれるのか?それはエサの食べかすやフンの沈殿物をバクテリアが分解することで発生します。つまり、水替えだけでは減らすことができないのです。水槽の底に沈んだ沈殿物やフィルター内に溜まっている茶色いカスを取り除かないと減らすことができません。
なので、プロホースで底砂掃除&フィルターの掃除をするという対処法を実施する必要があります。と、今でこそこのような対処法を知っていますが、何もしらなかった以前の私はただひたすらに水替えを行いまくっていました…。
黒ひげ苔が増殖しまくっている時に注意すべきこと
リン酸が過剰になっているということは、それを増やすものを水槽内に投入しちゃっていることが原因です。
✅リン酸を含むもの
- 生体へのエサ
- 水草の肥料
この2点の入れすぎが原因です。
エサや水草の肥料の入れすぎはリン酸だけではなく、アンモニアや亜硝酸なども増えているということになります。なので、生体や水草の命が危ない!ということにも。
✅対策法
- えさの量を見直す
- 水草の肥料の量を見直す
- 残ったエサを取り除くようにする
- 水替え回数を増やす
それでも黒ひげ苔が減ってくれない…という時があります。その理由は先ほども申し上げましたが、沈殿物やフィルター内のごみが原因です。
✅水替えを増やす、そしてエサを減らしても黒ひげ苔が減ってくれない理由
- エサやフンなどの汚泥をバクテリアが分解→リン酸が増加
- フィルター内に溜まったフンやエサ、汚泥をバクテリアが分解→リン酸が増加
✅対策法
- 底砂利やソイルをプロホースで掃除する
- フィルターにたまった汚泥を取り除く
- 思い切って水槽をリセットする
- 物理フィルターを追加するなどして強化する
↓プロホースは水作が使いやすいです
私が黒ひげ苔の発生に気付いたのは水槽立ち上げから2か月が経過したころ
東日本大震災に水槽が破壊されて以来、ずっとアクアリウムから遠ざかっていた私ですが、ふと今から5年くらい前に立ち寄ったペットショップに飾られていた水草水槽を見て、「自分もやってみたい!」と思いそこからまたアクアリウム生活がスタートしました。
以前の私は90㎝水槽にてディスカスを5~6匹飼育しており、水槽内に何も置かない、敷かない「ベアタンク」方式で管理していました。
すっかりディスカスの魅力にとりつかれ、日々その水槽を眺める、管理するのが楽しくてしょうがありませんでした。しかし、突如として襲い掛かった大地震。何の地震対策もしていなかった私の水槽は水があふれだし、そして外部フィルターの流出口にディフューザーが外れてしまい、気が付いた時には飛び出し&酸欠で全滅。そのショックで二度と熱帯魚の飼育はしないと決めました。
しかし、先ほども申し上げた通り、ペットショップで見た水槽で再び私のアクアリウム熱はヒートアップ。今度はADAの60㎝水槽(ハイタイプ)を購入して再度アクアリウムにチャレンジしたのでした。
意気揚々と水草水槽を始めるぞ!と取り組みました。栄養系のソイルを敷き、岩や水草をチャームで取り寄せてセッティングしました。
とりあえず最初はパイロットフィッシュだけで飼育し、1か月後にカージナルテトラやグラミー、ヤマトヌマエビなどを導入しました。
しかし、その1か月後に事件が…。なんと水草に茶色い苔が付き元気がなくなり、更に流木やヒーターなどに見慣れない黒っぽい苔が生え始めたのです。
↓水槽の流木や岩はチャームが安いです
原因は栄養系のソイルとエサのあげすぎ、そしてバクテリアが少なかったこと
その時は全く原因が分かりませんでした。なのでネットなどでがむしゃらに原因を調べまくった結果、「とにかく水替えが大事!」ということと、「木酢で退治する」という情報を得ることができました。
それからは日々水替えと木酢の毎日です。毎日20Ⅼ(水槽に対して4分の1の量の水替え)の水替えと、水替えが終わってからの木酢で黒ひげ苔を退治するという地獄の日々が続きました。
それから1か月ほど同じペースでの水替え&木酢苔退治が続きました。
すると…、苔対策が1か月すぎたくらいから黒ひげ苔が減少してきました。やっとか…。めちゃくちゃ安堵したと同時に、やっとこの地獄の日々から解放されるという喜びに包まれました。
原因は結局何だったのか?
✅水槽立ち上げ2か月で黒ひげ苔が発生した理由
- バクテリアの増加がいまいちだった
- エサをあげすぎていた
- ソイルが水草育成用だったので栄養が豊富だった
- 水草が陰性水草しか入れていなかった(水槽内の栄養を少ししか吸収してくれない)
これがすべてだと思います。特に栄養系のソイルを使っていたこと、そしてバクテリアの増殖がいまいちでアンモニアや亜硝酸の分解が追い付いていなかったことが要因だと思います。
この改善として水替えを一生懸命行ったことにより、飼育水中の余計な栄養を外に出してあげたことで改善に導くことができました。
結果論ですが、飼育魚の数が多すぎたことが水を汚す原因になったので、もっと少ない生体数にしておけばよかったこと、そして水草を有茎草にして二酸化炭素の添加を行えばよかったことなどが、対策として最も有効だったのかなと思います。
最初からこのようにしていれば、恐らく黒ひげ苔に悩まされることはなかったのかな?と思います。
しかし、1年半後に再び悪夢が…
黒ひげ苔がだいぶ改善されてから、水替えを週に2回ほどに減らしてずっといい状態が保つことができていました。
しかし、それから1年半後、急激に水の質が悪くなるのを感じました。今までキラキラしていた水が、何となくどんよりと暗く濁っているような感じがするのです。
水草や熱帯魚たちも何となく元気がないような気がします。
その私の予感は的中しました。なんと、変な予感がしてから1週間後に奴が現れたのです。そう、黒ひげ苔です。
朝起きてからトイレに行き、歯磨きをして顔を洗う、そして髪をお湯で流してドライヤーで乾かしムースでセット、その後に水槽のライトをつけて熱帯魚を眺めながら熱いコーヒーをすするのが私の日課です。
パチッ、水槽のライトを付けました。ボーっと水槽を眺めていると、見慣れない黒い毛が流木に付着していることに気が付きました。ボーっとしていた頭が一気に覚醒モードに。近づいて目を凝らしてみるとやっぱり黒ひげ苔でした。
すぐに木酢で消毒して、数日の間水替えを頻回に行うなどして対策したのですが、黒い悪魔は日に日に増えていきます。水替えをしても全く効果がありません。
その後、私がとった対策は「水槽リセット」
前のように毎日掃除&木酢は嫌だ…。そう思った私は水槽リセットを決めました。
と、同時に栄養系ソイルをやめて吸着系ソイルにしようと決めました。また、ろ過の方法も変えることにしました。
✅水槽リセットによって変えたこと
- 水草一番という栄養系ソイル→広瀬のブルカミアという吸着系ソイルに変える
- 外部フィルター2本ジョイント→底面ろ過に外部フィルターをつなげる×2か所
- バクテリアを自然増殖に任せる→バクターDDという生のバクテリア剤を加える
- 物理ろ過を強化→別途にジェックスコーナーフィルター2を取り付ける
- リン酸や硝酸塩をエサにして増殖する苔対策としてミジンコを導入する
- CO2無添加で陰性水草育成→CO2添加で有茎草の育成
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黒ひげ苔で本当にアクアリウムが嫌になりそうだった私は、思い切って水槽のろ過システムを変えることにしました。
その結果、その後2年ほど経過していますが、全く黒ひげ苔が出ていません。ちょっとしたトラブルはありますが、水もずっとピカピカの状態をキープしてくれています。
✅現在のメンテナンス状況
- 週2回の水替え(約半分)&苔掃除
- 月に1度のプロホースを使ってのソイル掃除(軽めに)
- 水替え時にバクテリア添加(サムライEX)
- 月1回のコーナーフィルターの中身交換(ジェックスコーナーフィルター2)
- 月1回の外部フィルター内部のウールマット掃除
- 半年に1度の外部フィルター内の清掃(ろ過材を軽く掃除)
ちょっと神経質になりすぎだよと友人に言われまくってますが、黒ひげ苔でとことん悩んだ私はこれくらいしないと気がすみません。
現在、飼育しているのはディスカス1匹とカージナルテトラ20匹、ヤマトヌマエビ10匹です。ちょっと多いかな?と思いますが、にぎやかな方がいいのでこのような飼育数となっています。
水草の方は陰性メインですが、グリーンロタラを後景草として大量に使っているので、水中及び土中の栄養素をうまく吸収してくれているのかな?と思っています。
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水槽の良好な管理方法は2種類
ここまで色々と水槽の水質管理で悩んできて得られた答えがあります。それは、「水槽の良好な管理方法は2種類」ということです。
2種類の水槽管理方法
- 物理ろ過&水替えをメインする方法
- 生物ろ過+水草ろ過をメインにする方法
まず①から説明します。こちらはベアタンク方式などで用いられている方法ですね。ろ過方式を単純にして管理をしやすくすることを目的としています。
ろ過はどこか一つに病巣ができても全体が狂ってしまいます。底にソイルや砂を入れたり、外部ろ過をいくつも用いたりしていると、いざ水槽がバランスを崩した時に原因を探すのが困難になります。
なので、水槽内はベアタンク又は薄めに砂を敷くようにしてリスクを排除し、ろ過は外部ろ過1つ+投げ込みろ過1つくらいにしてシンプルに管理しやすくします。
生体の出入りが激しいショップなどではこの方式がほとんどです。いざ病気が出たとしても対策が簡単で済みます。
水槽内において一番トラブルが出やすいのは底砂です。理由は水流が行き届かない→汚れが停滞しやすい&無酸素状態になりやすい→病原菌が繁殖しやすいという状況が作り出されやすくなるからです。
ベアタンクにして物理ろ過メインにすることでこのリスクを排除することができます。そして水替えを頻回にして水質管理をします。ベアタンクと外部ろ過1台+投げ込み1台では、水質を良好にしてくれるバクテリアの量が圧倒的に足りないので、それを水替えで補うようにします。
次に②生物ろ過をメインにする方法です。こちらは個人のアクアリストさんが多く採用している方法です。
水を汚す原因となるフンやエサの残り、水草の残骸などから生じるアンモニアや亜硝酸を水槽内に生息しているバクテリアに分解させて無毒化するという方法です。
バクテリアが大量に生息できる場所は底砂です。砂利やソイルを敷き、そこに栄養を吸い上げてくれる水草を生やすというスタイルが一般的です。
外部ろ過を使っている場合には、普通にそのまま使う場合と、私のように底面ろ過につなげて使う場合とがあります。底面につなげて使うタイプだと底面に住み着くバクテリアに酸素が供給されやすくなるのでいいですが、一方で汚れがたまりやすくなるというデメリットもあるので、適度にプロホースなどで掃除しなければならないというテクニックも必要になります。
水草の有無の自由ですが、たくさん植えている方が水質は安定しやすくなります。水草がエサの残滓や生体のフンなどから出る不要物を肥料として利用してくれるので、水質が安定しやすくなるというのが理由です。
この方法は安定すると水替えをしなくてもいいくらい素晴らしい状態が維持されますが、一旦状態を崩すと何が原因か分からないのでリセットするしかない、という危うさも秘めています。
そして安定した状態を維持するには「様々なテクニック」が必要になる(生体の数やエサの分量、水草管理、肥料管理、co2添加、ろ過フィルターや底砂の管理、バクテリア管理など)ので、中級者以上でないと持続して管理していくことはできません。極めるのは難しいといえるでしょう。
↓↓苔対策にはミジンコ導入も効果的です。下記にリンクを貼ってありますので是非ご覧くださいませ。
管理方法の説明は以上になります。どちらも一長一短があるのでどちらが優れているということはいえません。ただ、楽なのは圧倒的に②で水質が安定している場合です。
何もしなくても水質が安定してくれているので、水質管理や水替え、苔取りなどの手間が省けます。
↓私が使っている外部フィルター
まとめ
以上、私の黒ひげ危機一髪日記となりました。
ベアタンク以外でアクアリウムを楽しんでいる方で、比較的カロリーの多い食事をする生体を飼っている場合、ほとんどの方が悩む問題だと思います。
問題は富栄養と底砂及びフィルターの汚れなので、それらを根本から見直すことで改善することができます。
問題を解決せずして木酢やオキシドールなどで対策しようとすると、ずっと黒ひげ苔は消えてくれません。それよりも、根本となる原因を見抜いて改善することの方が近道の場合が多いです。
「綺麗なアクアリウムは努力なしには作り上げることはできない」といっていいでしょう。
何事も簡単で誰にでもできることよりも、難しく努力が必要なことほど面白いですよね。アクアリウムも同じです。難しいからこそ面白い、努力が必要だからこそ眺める水槽が愛おしいといえます。
それでは素晴らしいアクアリウムライフを。
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